愛奏～aikanade～

「あんたたち、もうＨＲ始まってるわよ！！早く席につきなさい！」


教室に入ると、早速先生に怒られた。

その先生の声に反応して、クラス全員から、一斉に注目を浴びた。

「ほら、早く座りな！」


私達は、「じゃぁまたあとで」と言って、それぞれの席についた。


私の席は、１番窓側の後ろ。特等席だ。少し笑みを浮かべながら座り、前に向き直った。


「じゃぁ、全員揃ったね？今日から、このクラスの面倒を見ます。山田 沙瑛（やまだ さえ）、36歳。未だ独身。」


誇らしく、堂々と独身と言った先生に、みんな笑い出した。先生は、コホンと咳ばらいをすると、再び話し始めた。


「今日から、みんな高校生です。3年間なんて、あっという間に終わります。だからこそ、今ある時間を大切に生きてください。私は、出来るだけあなた達の、人生を少しでもサポートできるように、頑張ります。これから１年間、頑張っていきましょう！！」


ちょっと臭い先生の言葉に、みんな感動して、黙っていた。私は、これから始まる高校生活が、最初の担任が先生で良かったと思った。