恋叶うオフィス
気付かない間に毛布が掛かっていた。これは、多分武藤が掛けたのだろう。時間は六時半になるところ。彼はちゃんと寝ているかな。

今日が土曜日でよかった。武藤もまだ体を休められるし、私もそばにいられる。

畳んだ毛布をソファーに置いて、忍び足で彼の部屋まで行った。そっとドアノブを回して開けると、そこには……。


「キャッ!」

「うわっ!」


開けたドアをすぐに閉める。

なに? 今の……なんで、裸なの?

上半身裸姿で立っていた武藤にビックリして、心臓が急速に動き出した。その鼓動を静めようと息を吸ったり、吐いたりする。

朝から心臓に悪すぎる……。


「渡瀬?」

「あ、いきなり開けちゃって、ごめん! 」

「あー、いや、平気だから。今、服着たよ」


もう一度おそるおそるドアを開けた。服を着た彼を見て、安堵する。なぜ脱いでいたのか……。


「汗かいたから、着替えていた。まさかそのタイミングに開けられるとは思わなかったけどね。ビックリした」

「私もビックリした。熱下がった? そうだ! ごめんね。寝ちゃって。毛布、ありがとう」
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