恋叶うオフィス
看病しに来たのに、人の家で寛いで寝てしまった。そのうえ、病人に毛布を掛けてもらうという……失態だ。
武藤はベッドに腰かけて、隣をポンと叩く。私はおずおずとそこに座って、ちらりと彼を見る。穏やかな顔で笑っていた。
「夜中に喉が乾いて起きたら、渡瀬がいて驚いたよ。俺のベッドに運ぼうかとも思ったけど、風邪移したら困るから、そのままにした。ソファーで寝て、体辛くなかった?」
「大丈夫。でも、起こしてくれたら、帰ったのに」
「だって、帰ってほしくなかったから」
意外と寂しがりやの武藤に顔が綻ぶ。普段と違う姿を見せてくれるのが、うれしくなった。
熱が下がって、体も軽くなったと言うが、ぶり返すかもしれないからとまたベッドに戻す。横になった武藤は口を尖らせた。
「寝るのに飽きた」
「子供みたいなこと、言わないの。朝ごはん用意するから待っていてね」
「うん、わかった」
拗ねる武藤は大きな子供だ。でも、素直に言うことをきくから、かわいい。いい年をした大人の彼をかわいいと言ったら、怒るかもしれないけど、やはりかわいく見えてしまう。
武藤はベッドに腰かけて、隣をポンと叩く。私はおずおずとそこに座って、ちらりと彼を見る。穏やかな顔で笑っていた。
「夜中に喉が乾いて起きたら、渡瀬がいて驚いたよ。俺のベッドに運ぼうかとも思ったけど、風邪移したら困るから、そのままにした。ソファーで寝て、体辛くなかった?」
「大丈夫。でも、起こしてくれたら、帰ったのに」
「だって、帰ってほしくなかったから」
意外と寂しがりやの武藤に顔が綻ぶ。普段と違う姿を見せてくれるのが、うれしくなった。
熱が下がって、体も軽くなったと言うが、ぶり返すかもしれないからとまたベッドに戻す。横になった武藤は口を尖らせた。
「寝るのに飽きた」
「子供みたいなこと、言わないの。朝ごはん用意するから待っていてね」
「うん、わかった」
拗ねる武藤は大きな子供だ。でも、素直に言うことをきくから、かわいい。いい年をした大人の彼をかわいいと言ったら、怒るかもしれないけど、やはりかわいく見えてしまう。