恋叶うオフィス
五月の誕生石はエメラルド……これ、エメラルドだよね?


「あの、武藤……」

「早く着けて見せてよ」

「あ、うん」


箱から取り出して、首に装着する。ロングカーディガンの下にはVネックのカットソーを着ていたから、服に隠れることはなかった。

本当に似合っているのだろうかと不安に思いながら、武藤を見る。彼はじっと私を見ていた。


「うん。思ったとおり、よく似合っている」

「こんな高価なものをもらっていいの?」

「それ、渡瀬が想像しているほど高くないから。それと、渡瀬のために選んだから、返さないでね」

「うん……もちろん返さないけど……。ありがとう。大事にするね」

「うん、そうしてもらえるとうれしい」


思いがけないケーキだけでなく、プレゼントまでもらってしまい、私はこのあと夜になるまでずっとそわそわと落ち着かなかった。

ランチ終了後、武藤はそのまま店舗回りに出掛けたので、私はひとりでオフィスに戻る。もらったネックレスを身に付けて。

目ざとい百々子ちゃんが早速質問してきた。


「渡瀬さん! そのネックレス、さっきまでなかったですよ? 誕生日プレゼントですか? 誰からですか?」
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