恋叶うオフィス
「うん……。親が離婚して、みんな辛い想いを抱えていたから……俺が支えようと思っていた。特に心が弱くなった母さんと広海を……。だけど、俺の方が支えられていたのかも。だから、母さんや広海が幸せに向かっていくのはうれしいのに、俺だけが置いていかれてるような気がして……」
言葉を詰まらせる武藤の背中をそっと撫でる。地面に視線を向けて話していた彼が、私の方を向いた。
武藤自身もお母さんや広海さんと同じように傷付いていたに違いない。でも、彼は自分よりもふたりのことを優先に考えた。
彼の心の奥にずっとある想いを吐き出してほしい。たいした力にはなれないかもしれないけれど、気持ちを軽くしてあげたい。
「どんなことでも聞くから、話して。武藤が結婚しないと決めていたのは、やっぱりご両親の離婚から?」
「うん。子供の俺から見た両親は本当に仲が良くて、お互いを思いやっていて、俺たち兄弟に厳しくも優しかった。両親が守ってくれていた家庭はあたたかくて、自然と家族全員が笑顔になれていた。そんな幸せな家庭が一瞬で崩れるなんて……夢にも思わなかった」
言葉を詰まらせる武藤の背中をそっと撫でる。地面に視線を向けて話していた彼が、私の方を向いた。
武藤自身もお母さんや広海さんと同じように傷付いていたに違いない。でも、彼は自分よりもふたりのことを優先に考えた。
彼の心の奥にずっとある想いを吐き出してほしい。たいした力にはなれないかもしれないけれど、気持ちを軽くしてあげたい。
「どんなことでも聞くから、話して。武藤が結婚しないと決めていたのは、やっぱりご両親の離婚から?」
「うん。子供の俺から見た両親は本当に仲が良くて、お互いを思いやっていて、俺たち兄弟に厳しくも優しかった。両親が守ってくれていた家庭はあたたかくて、自然と家族全員が笑顔になれていた。そんな幸せな家庭が一瞬で崩れるなんて……夢にも思わなかった」