恋叶うオフィス
幸せな距離
三年の片想いが実って、やっと好きな人の『彼女』になれた。好きな人が自分を好きでいてくれることは、最高にうれしい。

毎朝目覚めるたびに、夢じゃないよね? 現実だよね? と眠る前のことを思い出す。『おやすみ、また明日』と電話越しに大好きな彼の声を聞いてから、気持ちよく眠る日が続いている。

仕事でマメな武藤は、恋愛でもマメなようだ。本人はそのマメさを自覚していなく、当たり前のことをしているつもりでいる。

当たり前の日常に私との時間を持ってくれるのが、またうれしくて、ちょっと気が緩むと仕事中にも関わらず、頬が緩んでしまう。今も……。


「渡瀬さん、思い出し笑いですか? 楽しいことでもありました?」

「えっ? なにもない、ない。うん、特になにもないよ」

「なんかその慌てぶりが逆に怪しいですよ」


百々子ちゃんに恥ずかしい突っ込みをされて、狼狽えた。武藤に聞かれていないかと彼の姿を探す。

席を外しているようで、ざっと見える範囲にいなくてホッと胸を撫で下ろす。
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