恋叶うオフィス
なにも言わない私に、彼は首を傾げる。
「ん? 渡瀬、なに?」
「あっ……。明日のことだけど、主任に15時から来客予定が入っていて……。60分では終わらないよね?」
「んー、厳しいと思う。渡瀬が残りの打ち合わせについてはあとで報告するのではダメかな?」
上目遣いで訊く武藤にまた胸が高鳴る。1日に何度私の心臓は暴れるのだろう……。
「ダメじゃないと思う。主任には私から話すね」
「うん。俺もフォローするから、頼むよ。それと、渡瀬こっち来て」
「はい?」
武藤が手招きしたこっちとは、彼の隣。対面で話していた私は、反対側に移る。「これなんだけど」と彼はパソコンの画面を指差す。
そこに出されているのは武藤のスケジュールで、彼の指は金曜日の夜の部分にあった。業務終了後の夜は懇親会等がない限り、普通なにも予定は入れられていない。
彼の金曜日の夜も空白だった。つまり、武藤の金曜日の夜は空いているということだ。
で、えっと、何が言いたいのだろう?
これは、どう解釈するべき?
腰を屈めて、画面を見る私に武藤が顔を寄せて、小声で話す。
「ん? 渡瀬、なに?」
「あっ……。明日のことだけど、主任に15時から来客予定が入っていて……。60分では終わらないよね?」
「んー、厳しいと思う。渡瀬が残りの打ち合わせについてはあとで報告するのではダメかな?」
上目遣いで訊く武藤にまた胸が高鳴る。1日に何度私の心臓は暴れるのだろう……。
「ダメじゃないと思う。主任には私から話すね」
「うん。俺もフォローするから、頼むよ。それと、渡瀬こっち来て」
「はい?」
武藤が手招きしたこっちとは、彼の隣。対面で話していた私は、反対側に移る。「これなんだけど」と彼はパソコンの画面を指差す。
そこに出されているのは武藤のスケジュールで、彼の指は金曜日の夜の部分にあった。業務終了後の夜は懇親会等がない限り、普通なにも予定は入れられていない。
彼の金曜日の夜も空白だった。つまり、武藤の金曜日の夜は空いているということだ。
で、えっと、何が言いたいのだろう?
これは、どう解釈するべき?
腰を屈めて、画面を見る私に武藤が顔を寄せて、小声で話す。