恋叶うオフィス
一斉に「おおー!」と大きな声があがる。

友だちと伝えたはずなのに、その盛り上がりはなに?

私が顔をひきつらせていると、みんなは「良かった、良かった」となぜか納得して、それぞれのデスクに戻っていく。やっと業務に取り掛かれるけど、思いもよらない反応になんだか不安な気持ちになる。

どんな解釈をして納得したのだろう。
なにが良かった、なのか……。

武藤は一度帰社する予定になっているが、状況によっては戻らないでそのまま取引先との懇親会に行くと言っていた。

戻らない方がいいな。

今日は武藤からのサプライズプレゼントに困惑しているから、一晩寝て落ち着くまで顔を合わせたくない。

いつもの平常心を保てる自信がない。今武藤を見たら、彼を好きだという気持ちが滲み出そう。

しかし、私の思惑は外れた。


「武藤課長、お疲れ様です」

「ああ、お疲れ様です」


戻れる状況になったのか帰社したらしい武藤の声が廊下から聞こえてきた。その時私は、給湯室で休憩用のコーヒーを淹れていた。
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