恋叶うオフィス
誕生日は夜まで続く。今日は長い日だ。

一時間ほど残業をして、夕食はどうしようかなとふとスマホを見るとメッセージの着信があった。

またお祝いメッセージかなと開くと大学時代からの親友である石本里香(いしもとりか)からだった。

里香からは誕生日を迎えた瞬間に『おめでとう!』のメッセージをもらっていた。今回は『今夜なにも予定なかったら、お祝いしてあげるよ』というメッセージ。

誕生日の夜をひとり寂しく過ごすことなく、お祝いしてもらえるのはありがたい。すぐ『なにもない。お祝いして』と返信。

里香に指定された場所に行く。
……といっても、場所は私たちが住むマンション。

私も里香も大学進学で上京した。学生時代は大学近くにアパートを借りていたけど、就職して一年が経つ頃に今のマンションへ引っ越した。

里香は五階の部屋、私は四階の部屋を借りている。同じマンションならいつでも会えるし、なにかと心強いということでふたりで決めた暮らし。

どちらかが結婚するとか引っ越しをしなければならない状況になるまでここに住もうと約束した。多分里香のほうが早くに出ていくだろう。
< 18 / 153 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop