恋叶うオフィス
里香の部屋のインターホンを押すと微かにバタバタと小走りする音が聞こえて、ドアが開いた。

私よりも10センチ身長の低い里香は出るところはちゃんと出ていて、引っ込むべきところは引っ込んでいて、スタイルが良い。

里香のような体型になりたかったと何度思ったことか。そんな里香が笑顔で出迎えてくれる。


「柚希、お疲れー。あと少しで焼けるからね」

「里香、ありがと! お腹ぺこぺこー。いい匂いがする」

「もしかして誰かと誕生日ディナーかなと思ったけど、なかったのね……えっ、ちょっと! このネックレス、誰にもらったのよ?」


憐れみの目を向けた里香の視線が私の胸元にいった。やはりこのネックレスは目立つ。


「あー、武藤にもらった」

「きゃー! やったー! おめでとう!」

「ちょっ、里香。勘違いしてない? ただもらっただけだからね」

「は? もらっただけ? どういうことなの? あ、とりあえず座って」


オーブンレンジからはチーズの焼ける匂いがしていて、今出来上がりを告げる音が鳴った。
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