恋叶うオフィス
慌ただしく動く里香を見ながら、ローテーブルの前に置かれている茶色のクッションに座る。

テーブルにはアボカドサラダとエビのフリッターが並んでいた。そこに今焼けたばかりのミートドリアとグラスが並べられる。


「はい、お待たせー」

「わあ、美味しそう！」

グラスには赤ワインが注がれた。「おめでとう」と改めて乾杯。

熱々のドリアをスプーンですくって、息を吹きかける。


「美味しいー」

「うん。我ながら美味しく出来てる。さて、詳しく聞かせなさいよ。そのネックレスのこと」

「うん。あのね……」


武藤から朝にチョコをもらったことから夕方の秘密と囁かれたことまでを、ゆっくりと食べながら話す。

話を聞き終えた里香は不服そうな顔で口を開いた。


「武藤くん、いったい何がしたいの？」

「えっ、何がしたいとかないと思うよ。だって、これに意味はないんだから」

「でもね、普通は意味なく贈らないものよ。武藤くん、バカなの？」

「バカとか言わないでよ。武藤は課長になるほど優れているのよ」


好きな人をバカと言われて反論すると、里香は大きく息を吐いた。
< 20 / 153 >
表紙・目次

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop