恋叶うオフィス
藤田くんの動きは速く、すぐに色見本を表示させて、画面を反対側に向ける。
「まずベージュ色ですが、このような濃淡の違いがありまして……どれが一番ご希望の色に近いですか?」
「ベージュといっても、こんなにあるんですね。えっと、左から二番目かな……」
ひとりの人が画面を指差して、確認するように他の人たちを見る。「それでいいと思います」と意見が一致したので、藤田くんはまた素早く動いて、今度はブラウン色を出した。
ブラウン色も同じように聞いて、決定する。画面上での色見本と実物では違いもあるので、サンプル品が出来たら、届けることになった。
そんなやり取りをしていて、ふとあるアイデアが浮かび、「あ……」だけが口から出てしまったけど、今ここで言うべきではないと口をつぐんだ。
しかし、武藤が私に言う。
「なにかあるなら、なんでも言って」
「でも、ただふと浮かんだだけだから、考えをまとめてからにしたい」
私の返事に武藤は頷いたが、ホテル側のひとりが身を乗り出した。
「どんなことなんでしょうか? ふと浮かんだことでも、ここで話すことでもしかしたら、良案になるかもしれません」
「まずベージュ色ですが、このような濃淡の違いがありまして……どれが一番ご希望の色に近いですか?」
「ベージュといっても、こんなにあるんですね。えっと、左から二番目かな……」
ひとりの人が画面を指差して、確認するように他の人たちを見る。「それでいいと思います」と意見が一致したので、藤田くんはまた素早く動いて、今度はブラウン色を出した。
ブラウン色も同じように聞いて、決定する。画面上での色見本と実物では違いもあるので、サンプル品が出来たら、届けることになった。
そんなやり取りをしていて、ふとあるアイデアが浮かび、「あ……」だけが口から出てしまったけど、今ここで言うべきではないと口をつぐんだ。
しかし、武藤が私に言う。
「なにかあるなら、なんでも言って」
「でも、ただふと浮かんだだけだから、考えをまとめてからにしたい」
私の返事に武藤は頷いたが、ホテル側のひとりが身を乗り出した。
「どんなことなんでしょうか? ふと浮かんだことでも、ここで話すことでもしかしたら、良案になるかもしれません」