恋叶うオフィス
私に気付いた武藤がこっちへと近付いてきた。そんな武藤を見てから、宇野くんが大きく息を吐く。
「なんで、武藤を呼ぶの?」
「あ、呼んだわけじゃなくて、手を振ったというか……」
宇野くんの不機嫌な問いに必死で言い訳する。宇野くんと帰りたくなくて、武藤になんとかしてもらえないかと思ってしまった。
武藤は苦虫を噛み潰したような顔をしている宇野くんを見ることなく、私の腕を掴んだ。
「渡瀬、帰るんだろ? 行こう」
「あ、うん。宇野くん……またね」
「おい、ちょっと待て」
「なに?」
宇野くんに肩を掴まれた武藤が振り返る。宇野くんに対する私たちの態度はひどいものだろう。
「ふたり、一緒に帰る約束してたの?」
「してないけど、一緒に帰るの当たり前だから」
「なんで当たり前? おかしくないか?」
約束はしていないけど、武藤も二次会に出ないと聞いていて、私も出ないと話してはいた。だから、実のところ、一緒に帰るつもりだった。
宇野くんにしたら、理解出来ないことだろうけど、私たちにとっては暗黙の了解によって……ということだ。
「なんで、武藤を呼ぶの?」
「あ、呼んだわけじゃなくて、手を振ったというか……」
宇野くんの不機嫌な問いに必死で言い訳する。宇野くんと帰りたくなくて、武藤になんとかしてもらえないかと思ってしまった。
武藤は苦虫を噛み潰したような顔をしている宇野くんを見ることなく、私の腕を掴んだ。
「渡瀬、帰るんだろ? 行こう」
「あ、うん。宇野くん……またね」
「おい、ちょっと待て」
「なに?」
宇野くんに肩を掴まれた武藤が振り返る。宇野くんに対する私たちの態度はひどいものだろう。
「ふたり、一緒に帰る約束してたの?」
「してないけど、一緒に帰るの当たり前だから」
「なんで当たり前? おかしくないか?」
約束はしていないけど、武藤も二次会に出ないと聞いていて、私も出ないと話してはいた。だから、実のところ、一緒に帰るつもりだった。
宇野くんにしたら、理解出来ないことだろうけど、私たちにとっては暗黙の了解によって……ということだ。