あなたに恋をする〜happiness〜
「羽山君。教科書、見せてもらってもいいかな?私、転校してきたばかりでまだ道具そろえられてないんだ。………いいかな?」

「………ごめんなさい」

小さな声だったけどはっきりと聞こえた。
もしかして羽山君も忘れたのかな?
だったらしょうがないよね。

「そっか。じゃあわからないところとかあったら教え会おう!決まりね!」

半ば強引に言った。
すると羽山君は縦に首をふった。
つまりいいってことだよね!

「羽山君、この問題わかる?………解けた?」

数学の問題で計算を解き終わった私は羽山君の方を見た。
手が止まってる………。
わからないのかな?

「わかった?」

「いえ、わからなくて………」

「どこ?」

私は羽山君と机をくっつけて羽山君のノートを覗いた。

「問2です………」

「これね。これはここをこうしてこうすれば答えがでるよ」

「………本当だ!すごいです、花宮さん」

なんて誉められてしまった。
恥ずかしい………。
ん、創ちゃんがこっち見てる!
創ちゃんの席は私から少し離れている。
真ん中の列の真ん中の席。
真ん中だらけ………。
私は創ちゃんに笑って手を小さくふった。
創ちゃんも同じように返してくれた。
だけどなんだか元気がない。
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