君に「I Love You」と伝えたくて
「Hello(こんにちは)~!」
私が英語クラブに入り、一週。今日も元気に挨拶をする。英語クラブでは、挨拶は英語で、というルールがあるんだ。
「ハ、ハロー!」
片言の英語で、雅彦は挨拶をする。雅彦は、発音も苦手なんだって。
「さて……今日も勉強するよ。Let's start(さぁ始めよう)!」
「もうやるの……?」
気だるそうに、雅彦は席に着く。私は「当たり前じゃん!」と雅彦を急かすようにした。
「はぁー……」
ため息を付きたいのは、こっちだよ……。このやり取りをしたの、何回目?
「……てか、部活が始まってから、すぐに勉強したいって言ったのってあんただよね」
私が、勉強道具を出す雅彦に問いかけると、雅彦は「まぁな」と机に突っ伏した。
基本、この部活は自由。だけど、英語に関することをしなければならないんだ。
「じゃあ、今日は――」
私は、雅彦のために、英語の授業を始めた。
あれから1か月。雅彦は、英語の時間に行われる小テストの点を徐々に上げていった。
「へぇ……すごいね」
私らは、雅彦の小テストを片手に英語科教室にいた。私は、わざと雅彦を褒めちぎる。
「い、いや……その……」
雅彦は、恥ずかしそうに俯いた。その様子が面白くて、私はクスクス笑う。
「Hello!」
その時、顧問の先生が顔を出した。私たちは、声を揃えて言う。
「Hello!」
さぁ、部活の始まりだ!