曼珠沙華が遺した言葉



数日後、悠梨たちは新藤刑事に集められていた。この件の全てが分かったためだ。

「……それでは……」

新藤刑事の緊迫した声が、部屋に響く。

「まず、結論から言わせてもらう。芽依さんは――自殺したんです」

その言葉に、紫安は驚いた様子を見せた。新藤刑事は、話を続ける。

「芽依さんは、彼岸花に含まれているアルカロイドにより、亡くなりました。彼岸花は、特に球根に多くのアルカロイドを含んでいます。彼女は、その部分だけを食べていました。手には土が付いており、自分で掘ったことが分かります。このことから、自殺したことが分かりました」

「手に持っていた彼岸花ですが、紫安さんは、彼岸花の花言葉をご存じですか?」

悠梨が問いかけると、紫安は首を横に振った。

「彼岸花の花言葉は、『あきらめ』や『独立』です。彼女は、孤独になってしまって、生きることを諦めたのではないか、と思います。この手紙を見てください」

悠梨が紫安に見せたのは、『00A1E9 105779して』と書かれた紙。

「調べてみたところ、これはカラーコードでした。00A1E9は『シアンブルー』。105779は『藍』。これを当てはめてみると、『シアンブルー 藍して』。恐らく、芽依さんは、紫安さんに愛してほしかったって言いたかったんでしょう」
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