口さけ女と陰陽師

陰陽師の勘

飯島はそれからずっと数日くち子が悪さをしないか見張っていた。

だがくち子は悪さをするどころか、美人で優しく、他人のミスをカバーしたりする世話好きで、成績もよく、いつのまにかそこら辺によくいるヒロイン的な立ち位置にいた。

そんなくち子を気にいり、男性が何人も二人きりの時に告白をしていたがそんな時でも招待を明かさなかった。

飯島「あいつ本当に人間として学生生活送る気なのか?」

飯島はそればかり考えていた。悪さをするつもりは全くないことからそのつもりであることは明白だった。だがなぜ彼女がそんなことをするのかわからなかった。

飯島「普通。いや、俺が見てきた中の魔は自分勝手で、人間嫌いで、同じ魔同士でいいあったり、獲物を取り合ったりしてたが、まさか俺に気づいて演技してるとかか?」

あり得ない話ではない。陰陽師には人間には見えない特有のオーラ的なものが強くまとわりついており、魔はそれが見えるといういいつたえなのだ。

飯島「…考えても仕方がないか。今夜辺りあいつの正体を確かめないとな」

そしてこの後例の自販機で口さけ女だと気づいたことは言うまでもない。

飯島はとっさに缶を拾い始め、見てないそぶりを見せ、くち子が走り去るのを見届けた。

飯島心の声[勘が当たったな…。あのマスクそして美人ときたらやっぱ口さけ女だよな。。。俺をしっかり見たはずなのに。殺すどころか話しかけもせず逃げたって事はやっぱり人間としてよほど生きたいんだろうな。さてどうするかな。]
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