音のない君への告白
俺を見てほしくて、もう一度触れてほしくて、自分でもわからない感情が芽生えていた。そしてそれは、上原と出かけるたびに思ったんだ。

二人で花火大会に行って上原の浴衣姿を見た時、水族館でアシカショーを「可愛い!」と言いながら見ている上原を見た時、公園でひまわりを二人で見た時、胸が高鳴ってどうしようもなかった。

「今日で夏休み、終わりだね」

夏休み最終日、俺と上原は図書館に行っていた。その帰り道に上原が俺に言う。俺は「そうだな」と頷いた。

去年は、早く学校が始まってほしかった。退屈な家にずっと閉じこもることになるなら、授業を受けていた方がずっといい暇つぶしになる。しかし、今年は何だか時間が経つのが早かった。

「また明日!」

上原の家の前まで来ると、上原はニコリと笑って手話をする。俺も上原と同じように、右手で拳を作って人差し指と中指を伸ばしながら左に倒した。そして、右手の人差し指を立てて肩の位置から前に出す。
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