音のない君への告白
「お前、見たことない顔だな。俺と同じ二年生だろ?」

人と関わる気はないが、クラスメートや同じ学年の人の顔くらいは覚えている。女子生徒はコクリと頷き、ブレザーのポケットからメモ帳を取り出した。

「私は、上原結菜(うえはらゆいな)と言います。この学校には今日から転校してきました」

なぜか口では話さず、上原はメモ帳に書き込んで俺に見せる。俺は疑問に思った。

「何で喋らないんだよ?」

俺をジッと見てメモ帳にいつでも文を書こうとしている上原に、俺は少し苛立ってきた。文字というものは、自分の感情を殺すことが簡単にできる。だから、俺は手紙やメールが嫌いだ。まあ、人が話している言葉も嫌いだけどな。

俺が苛立ちを見せると、びくりと上原は肩を震わせる。そして口を開いて言葉を発そうとした。

「結菜〜!!お待たせ」

重い空気が流れる俺と上原のもとに、女子生徒がニコニコしながら走ってきた。そして俺を見るなり警戒心を強くする。そして、上原の肩を叩いた。
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