恋を拗らせている。
でもまぁ、時間が経つの早い。
すぐに二駅過ぎて、和久は降りていく。



「お疲れ様でした〜」
「お疲れ様〜…」
「お疲れ様です」



2人になった途端、無言になって気まずい空気。
弥那は無言に耐えきれなくなったのか、チラッと俺を見上げる。



「…なに」
「べ、別に…何もないです」



徐々に小さくなっていく言葉に、ちょっと威圧的に話してしまったか、とか考えてしまう。



「…あのさ、俊哉くん」
「うん」
「使ったタオルは、その辺に置いとかないで、カゴに入れて欲しいです…」
「…それはごめん」



普通にダメ出しされた。



そこからまぁ、会話が続くはずもなく。
俺たちは沈黙、気まずい雰囲気。



「…」
「…」



話すことはないし、話しかけるガッツもない。
…否、話したいことはたくさんある。
それが叶わない関係なだけで。



「…お疲れ様、です」



あれから4駅、11分間の沈黙を破って弥那は立ち上がった。



「……お疲れ」



弥那はそれだけ聞くと振り返らずに降りていった。
…こんなはずじゃ、なかったのに。
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