恋を拗らせている。

元カノ

「はい、おめでと」



朝学校に来てすぐに神楽がコンビニの袋を差し出してきた。
ガサッと揺れた袋にはいくらかお菓子が入ってるぽい。



「…なにこれ」
「は?お前誕生日だろ?
さすがの俺も覚えてるけど」
「あー…そういえば」



朝から誰も言ってくれなかったし、忘れてた。
…忘れたかったの間違いか。



ふと、弥那を一瞥する。
机にクッション、そこに顎を置いてスマホの画面を見つめていた。



「…おい、弥那ちゃんのこと見過ぎな」



こそっと俺に耳打ちする神楽。
俺はハッとして、神楽に視線を向ける。



「…なんだよ」
「いやいや、こえーよ。俺なんも悪いことしてなくない?」



…気になるじゃん。
絶対俺の誕生日知ってるはずなのに、なんの反応もなくて、俺を見ることもなくて。

…ほんとに眼中になかったのだろうか。
それは考えるだけで心が折れる。



「弥那〜」



教室の入り口に、煩わしい声が聞こえた。
加賀見瑞李だ。
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