恋を拗らせている。

他人

「あの…水城くん。次の休み、映画とか、行かない?」



休み時間、唐突に話しかけられた。
フワッとしたショートボブにたれ目。


いったい誰かはわからなかったけど、少なくともうちのクラスのやつではない。



「…考えとく」



そう答えると、教室の入り口にいるキャピキャピ集団の元に帰っていって、一緒になってキャピキャピしている。



…デート、だよな多分。
多分、2人で、ってところを省いて、断られなくするための作戦なんだろうけど。



…デート、ねぇ。



『来週、水族館行かない?』
『えっ…と、が、外出はちょっと…』



夏休み、ガッツリデートを断られたあの日が懐かしい。
なんだか笑えてしまって、口角が上がる。



ずっと、互いの家の行き来だけだったから、たまにはいいかなって思って、誘ったんだけど。

そしたら、一応申し訳なさそうな顔はしてくれたけど、はっきり断られて。
付き合ってて初めて、つら…って思った。
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