恋を拗らせている。
みーり、は昔“ず”が発音できなかった名残で…と、説明してくれる弥那。



…もう全部勘違い。



「…普通に、弥那取られると思って焦ってたんだけど」
「ぜ、全然違うよ!
やなもみーりも、そういう感じじゃないし、みーり、ちゃんと彼女いるよ?」

「…それはちゃんとなのか?」
「…わかんない」



突然訪れる、沈黙。
俺はじーっと財布を見つめる。



「ありがと。使うわ」
「ほんと?」
「なんで嘘つくんだよ」
「…わかんない」



真顔でそういう弥那。何も考えてなさそうだな。



「えっと、今日はたくさん俊哉くんにお話ししたいことがあります」
「うん」



俺は一度机に財布を置く。
包装紙も綺麗に畳んで、なんとなく箱に入れておいた。
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