恋を拗らせている。

…ほんとに、付き合ってたって言ってもいいのかな。



「なんで別れちゃったんすか〜。まだまだこれからって感じじゃないですか」



納得いかなさそうに、少し低身長気味の和久は俺を見上げる。
俺はそれから目を離して、わざと明るく言った。



「…残念、弥那の好きなやつは俺じゃないんだよ」



…自分で言ってて虚しい。
未練たらたらの俺としては、こういうのが1番心にくる。



「…そんなの、いるんですか？
弥那さん、見てる限りだと、先輩にベタ惚れの感じでしたよ？」
「お前の見てないところでは、別の男とよく話してたよ」



…加賀見瑞李(かがみみずり)。
隣のクラスの、爽やかイケメン。
弥那によく会いに来て、仲良さげに話していた。…今もだけど。

なんだかんだ、弥那も楽しそうだったし、あぁもう、俺じゃないんだなー…って。思ってしまった。


「ふーん…先輩、なかなか奥手なんですね。顔に似合わず」
「は？」