*続*不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
「はじめてさ、独占欲とか嫉妬とかそういう気持ちを知ったのが碧と付き合った時でさ。

格好悪い姿なんて絶対に見せたくなくて、背伸びして見栄はって格好つけすぎて浮気された。

今日来てさそんな話を碧がしたんだ。

手を出さない俺にやきもちも妬かせたくて先輩とも付き合いだして、二股が俺にばれてアイツとは別れたんだけどさ。

碧はその先輩と結婚したんだよ。

もちろん、ちゃんと想いあって結婚してる。

ただね…。

彼はいま事故にあって車イスの生活なんだ。

自分は足枷になるから離婚話をされてるけど別れるつもりはないってそう言ってた。

大好きな人の手は何があっても二度と離したくないからって。

だから、俺たちがどうこうなることなんて絶対にない。

今日店に来たのは障害者用の車の相談。
俺は営業じゃないからさ、担当セールスに澤田を紹介した。

…謝ってたよ、明莉に意地悪言ったこと」


「えっ?」

「何を碧が言ったのかは知らないけど、式場で俺たちを見たときに、もしかしたら自分のもうひとつの未来は選択が違っていたらってかんかえたって。

あんなにも俺に大事にされて愛されてる明莉が羨ましかったって。

蓮もあんな顔をするんだねって笑ってたよ」

そっと伸ばされた手が一瞬ためらってそっと私の手に重ねられた。

握ることをためらっている重ねられた大きな手に、私は自分から指を絡めて繋ぎ、ぎゅっと握りしめた。
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