*続*不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
片瀬さんの言いたいことは何となくわかる。

俺も朝陽の言葉や態度にいくつか引っ掛かるところがあった。

俺の知らない、いや…もしかしたら今まで気が付かなかった "素の朝陽" を見たのかも知れない。

『蓮司以外には気を許してない』

『特別な蓮司』

今まで聞いたこともない、女としての朝陽の発言。

ついこの間、浜谷のことや碧のことで明莉を泣かせたばかりで、朝陽が同じ営業所に現れたことは頭が痛くて仕方がない。

「はぁぁ、どうする…かなぁ…」

ハンドルにつっぷしたまま、俺はその場からしばらく動くことができずにいた。
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