*続*不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
私の父や兄にむけた手紙に私はもちろん、三人の兄たちは号泣し、新郎の父からの挨拶のあとに、蓮司がマイクの前にたった。

「本日はお忙しい中、私どもの結婚式にお越しいただきありがとうございます。

皆様お気付きだとは思いますが、今日の私はこの晴れの日にふさわしくない顔をしております。

実は式の十日前に大喧嘩して…離婚寸前でした。

指折り数えて楽しみにしているはずの結婚式へのカウントダウンは、私には離婚へのカウントダウンで…。

今日彼女が式場に現れなければ、先程みなさんが映像で見たように、また私は一から彼女に片想いをやり直すつもりでした」

蓮司は一度言葉を切ると大きく深呼吸した。

「今日彼女は三十分遅れて式場に現れて…」

蓮司の目が潤みだし、言葉に詰まる。

「俺……もうダメなんだって…俺たちおわりなんだって…ものすごく焦った…」

泣き笑いしながら蓮司が隣にたつ私の手を握り締めた。
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