*続*不機嫌な彼と恋のマジックドライビング
そんな浜谷さんがぷりぷりしながら私のデスクに姿を現したのは、お昼休憩も終わり、仕事に取りかかってすぐのことだった。

「明莉さん!

ちょームカつく女が来てるんです!

一緒に下に来てください!」

私の腕を掴み立ち上がらせようとする浜谷さんを、すっ飛んできた岡田さんが肩をつかんで制止する。

「落ち着け。

今は業務中だぞ。下で何があったんだ?香田さんがいかなくちゃいけないほどの急用?」

打ち合わせスペースに浜谷さんを押し込めた岡田さんは声を潜めて話ながら私を手招きして呼び寄せた。

「急用も急用!一大事です!!

今、オイル交換できてる女がめちゃくちゃ香田さんに馴れ馴れしくて!

"蓮" なんて呼んでベッタリで!

回りに聞こえるような大きな声でわざと元カノだっていいながら昔話して!

あぁぁっ!!ムカつくんですよ!
ほんとに!

明莉さん、ここは出ていってビシッと "妻です" って挨拶してくださいよ!」

ぷんぷん私のために怒る浜谷さんがなんだかとても可愛らしくてこの間まで敬遠していた自分が嘘のようだ。
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