最強族の女総長は通り名を棄てて闘う
もう少し
あたしの目が覚めたのは1ヶ月経ったとき。
洸の家に帰ると誰も居なかった。
でも、皆の匂いはするし皆が居た形跡はある。
テーブルを手でなぞる。
小さい頃にあたしが針で削った跡。
椅子を引いて座ると洸が頭を抱えて仕事をする姿。
ソファに座ると寝ている東。
脳裏に駆け巡るものは全て今起こっていることじゃない。
テレビを付ければお茶を出してくれる皐月。
隣の部屋に続く襖を開けると淳に怒られている蓮とあたし。

藍「花瓶割ったっけな」

藍桜の皆、先代。
桜雅の下っ端。
あたしはその場に崩れて泣いた。
あたしがいない間に何があって今ここに居ないんだ。
涙が止まらない。
すると声が聞こえた。

皐「テレビ付いてる」
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