蝶の親指。弦音は鳴る。
「どこいく?」

葵ちゃんに聞かれて、

特にいくところも決めずに進んでいた。

「弓道部いきたいんだよね?いく?」

「いや!弓道部さいごにいこ」

「どうして?」

「なんとなく!」

二人して笑いあった

なんだか高校生活、葵ちゃんがいれば上手くやっていけるような気がした。

「葵ちゃん、バドミントン部だったんだよね?

見に行く?どうする?」

そう聞くと、少しうつむいて一応と呟いた。

体育館にはいると、

たくさんの風を切る音が聞こえた。

バドミントン部だけじゃなく、バレー部もやっていて多くの音がこだましていた。

体育館のわきに置かれたいすに座って、

練習を見続ける。

私には悲しいことに運動の才能は持ち合わせていないので、

すごいなと他人事のように見るだけだった。

隣に座る葵ちゃんは、

ずっと顔がくらいままだった。

「もう、いいよ。別のとこいこ」

「え、いいの?」

「うん。いいよ」

そういうと、決意したように大きく立ち上がり、全国大会にいったような部活動を見て回った。

どこも素敵で、魅力的だった。

でも、やっぱりなにか物足りなかった。
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