蝶の親指。弦音は鳴る。
だが、また新たな難関が私を襲った。

弓構えだ。

「大きな大木を抱くように丸い円を描くの。

どちらかが歪んだら、打起したときに、平行にならないの。

これも基本中の基本!」

大木を抱くイメージを作ると、どうしても肩に力が入ってしまう。

そして、いちばんの難関。

引分けだ。

両方平等にゆっくりと、口割にちょうど来るように引き付ける。

リラックスして、肩線がぶれないようにするのだ。

口割というのは、最終的に会で矢が口の位置に来るように合わせることをいう。

軽く矢も口に当てるのだ。

どれもこれも難しい。

一日で覚えられるような数じゃないので、

どっとつかれてしまった。

「真弓ちゃん大丈夫!?

こんなに一気に教えられても難しいよね...。

明日はもう少し丁寧に教えるから、

まってるよ!!」

新入生は、時間が普通の時間より短くなっているので、帰らなきゃいけない時間だった。

この量覚えられるかなと不安が残った。
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