蝶の親指。弦音は鳴る。
扇風機の回る風を感じながら、窓の外を眺めた。

「ぇ、ねぇ真弓ーーー聞いてる??」

「あっ、ごめんごめん...。

ぼーっとしてたや」

「変なこと考えてたんじゃないの??

....まぁそんなことはどうでもよくて!

橘いくって心に決めたなら、それに向かってとにかく勉強だよ!まずは勉強!

受かんないと、弓道?もできないでしょ」

反論の余地も残されない言葉の数々に

その通りでございますと、

授業開始のチャイムが鳴るちょっと前に

私は静かに席についた。
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