イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)
「うわぁ~凄いホテル。綺麗…」
そのホテルは、高級なだけあって落ち着いた雰囲気と
何処かのお城のような感じだった。
私なら、なかなか泊まる事なんて出来ないわ。
羨ましい限りだ。
えっと…部屋番号は?
私は、編集長に教えてもらった部屋に向かった。
エレベーターに乗り込み部屋の前まで行くと
チャイムを鳴らした。すると先生が出てきた。
「あぁ、お前が来たんだな」
「引き続き私が担当としてお世話をする事になりました。
あの…よろしくお願いします」
深々と頭を下げた。
「別に固くなるな。まったく。
こんな所に避難しなくても俺は、大丈夫なのに
勝手な事をしやがって…」
「すみません。ですが、自宅もバレて外出がしにくいと
思いますし…少しの辛抱ですよ」
申し訳ないと思いながらもなだめていると
睦月君は、ジッと私の手元を見ていた。
おっと…そうだった。
「はい、睦月君。前に買ってきたシュークリーム。
新作が出たから今日のお礼に…ありがとね」
睦月君に庇ってくれたお礼として手土産を渡した。
「…ありがとう」
睦月君は、お礼を言うが目線は、シュークリームの方に
夢中だった。フフッ……夢中でいるわね。
「……悪いな。コイツのためにシュークリームまで。
とにかく中に入れ。お茶の用意をさせるから」
「は、はい。」
先生は、ため息混じりにそう言ってきたので
私は、慌てて返事をすると部屋に入らしてもらった。
まだ気まずさもあるが、やっぱり先生と睦月君のそばに
居られるのは、嬉しかった。
しばらくしてスタッフにお茶を持って来てもらう。
睦月君は、私が持ってきたシュークリームを
夢中で食べていた。先生は、ソファーに座り持ってきた
コーヒーに口をつけていた。