イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)
「申し訳ないですが編集長が、しばらく
ここに居て欲しいと言っていました」
編集長からの伝言を申し訳なさそうに伝えた。
それからどうするかは、聞かされていない。
聞かされてるのは、取材をしたいと申し出がある事と
その世話をすることだけだ。すると先生は、
もう一度ため息を吐いた。
「とりあえず俺は、いいが睦月が幼稚園に行きにくい。
あっちにも報道陣が来てるだろうし
他の保護者の人に迷惑をかけるだろうしな。
まったく、めんどくせー」
「す、すみません」
「何でお前が謝るんだ?それよりサイン会だっけか?
今ならやってもいいぞ」
「えっ?それは、本当ですか!?」
私は、驚いて聞き返した。
まさかのサイン会の許可が貰えるなんて思わなかった。
そう言ってくれるとこちらもありがたい。
でも、何故急に……?
「正体を世間に知られた以上隠す必要が無くなったしな。
サイン会ぐらいならかまわん」
「は、はい。なら、早速編集長に報告をしておきます。
あ、それでしたら雑誌の撮影なども
いかがでしょうか?」
私は、思い出したかのように言うが
「あっ?」と先生に低い声で睨まれてしまった。
身体がビクッと震え上がった。こ、怖い……。
「す、すみません。失言でした」
「だから、いちいち謝るなって
何でそこに取材とかになるんだよ?」
「それは、先生の事を最近知った人のためにも
雑誌やテレビ出演をした方がいいかと思いまして。
私も先生にお会いして
もっと…先生の事を好きになりましたから」
だがハッと気づいた。
嫌だ……さりげなく私ったら先生に対して好きって
言っていたわ。思わず身体中が熱くなる。
「も、もちろん先生の作品がですよ!?」
慌てて言い訳する。