イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)

それにベッドが2つあるけど、いざ隣に先生が
寝てると思うと緊張しまう。
いくらこれで三度目だとしても状況が違うし。
洗面所にいつまでも居る訳にもいかないし……。
ハァッ……とため息を吐いた。仕方がなく戻ると
睦月君がゴソゴソとカバンの中を探っていた。

「あら?睦月君。何を探しているのかな?」

睦月君に聞いてみるとカバンから絵本を取り出し
私に見せてきた。
あぁ絵本を読んでほしいのか……。
するとそのまま立ち上がり先生のもとへ

あれ?私じゃないの?
睦月君は、先生に絵本を見せた。

「あぁ、絵本か。なら
早く歯磨きとトイレを済ませろ」

睦月君は、コクリと頷き洗面所に向かう。
どうやら先生に読んでほしいらしい。
それは、どんな風になるのだろうか?
何だがドキドキしてしまう。

そして睦月君は、途中で先生に仕上げをしてもらい
ベッドに戻ると寝転がった。
先生も横に寝そべり絵本を広げた。
私は、隣にのベッドを使わしてもらう。
横に転がると徐に読み始めていた。
低くて心地のいい声だ。

絵本は、昔から知っている一寸法師の話だったが
先生が朗読すると何だか新鮮に思える。
意外と上手い。それに…何だか落ち着く……。
うっすらと目が閉じていく。
あまりにも心地よくて睡魔が私を襲った。

「……う…ん…」

うっすらと目を開けた。辺りは、薄暗くなっていた。
私、いつの間に眠っちゃったのかしら?
あまりにも先生の声が心地よくて
いつの間にか寝てしまったらしい。

隣のベッドを見ると睦月君は、スヤスヤと
寝息をたてて眠っていた。あれ?先生は…?
そこに先生の姿はなかった。

辺りを見渡すとソファーで座りノートパソコンと
向き合っていた。こんな時間まで仕事を?
近くに備え付けてあった時計を見ると深夜の1時過ぎだ。

そこだけ電気をつけて執筆をしている。
無理しなければ、いいけど……。
お茶でも淹れてあげた方がいいかしら?

そう思いベッドから起き上がろうとしたら
先生は、ハァッ…とため息を吐き眼鏡を外した。
私は、ビクッと反応して止まる。
その様子を眺めていたら先生は、1冊の本を手に取ると
何かを取り出していた。

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