イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)
睦月君は、首を傾げるが私も驚いた。
急に睦月君に対してやる気があるとか……どうして
そういうのだろうか?
「歌も歌わないし、やる気があると思えない。
パパが言っていましたわ。劇でも何でも
見せ場にちゃんと活躍が出来ない奴は、
この先も落ちぶれるって」
その女の子の言葉に衝撃を受ける。
こんな小さな子に凄い台詞を出てくるなんて…。
女の子は、続けてまだ言ってきた。
「他の子に人気あるみたいだけど
茉莉華は、睦月君がいいとは思いませんわ。
茉莉華は、落ちぶれる人嫌いだもん」
そうバッサリと言い放つ。
茉莉華って…じゃあ、やっぱり竜ヶ崎さんのお子さん?
いや、しかし……落ちぶれる人が嫌いって
幼稚園児が言う台詞ではない。って事は、
これも父親に言わせられてるの?
唖然としていると拓馬君が言い返してきた。
「おい、茉莉華。お前…睦月に対して失礼じゃね?」
「どうして?」
「睦月は、本番で歌うし。大体落ちぶれる奴が
嫌いって勝手に決めつけるなよ。なってもいないのに」
「えっ?本当の事でしょ?パパが言っていましたわ。
茉莉華は、悪くありませんわ」
平然と言う茉莉華ちゃんを見て驚いた。
これは、止めた方がいいのよね…?
しかし本人は、悪気がある訳ではないみたいだし
どうやって注意をしたらいいのだろうか。
「茉莉華……お前なぁ…」
すると睦月君は、何も無かったかのように
帽子を被ると2人の間を通り過ぎて私の所に来た。
「お腹空いた…」と言いながら。えっ?
完全にスルーしている睦月君だった。
「おい、睦月。無視するなよ!?」
拓馬君が呆れながらツッコんだ。
そりゃあ、ツッコむよね?しかし睦月君は、
拓馬君を見ると「拓馬。バイバイ」と小さく手を振る。
それを見た彼は、ハァッとため息を吐いた。