イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)

「オブラートに包んだ所で調子に乗られたら敵わん。
まぁ女が全てそんな奴だと言ってる訳ではねぇーし
文句を言うな」

先生は、そう言うと淹れたコーヒーとジュース
そしておやつのチョコケーキを持って行ってしまった。
もう先生ったら……。

私は、慌てて追いかけた。睦月君は、
チョコケーキを受け取ると夢中で食べ始めた。
すると先生は、コーヒーを飲みながら

「睦月。お前……今日謝ったらしいな?
何で謝った。別にお前が言った訳ではないのだし
向こうが先に酷いを言ったんだから
謝らなくても良かっただろ?」

そう質問すると睦月君は、食べていた手が止まった。

「……もともとの喧嘩の原因、僕だし」

睦月君……。
何だか胸が苦しくなった。
きっと複雑な気持ちなのだろう。
そうしたら先生は、睦月君の頭をポンポンと撫でた。

「そうか…よく謝れたな。偉いぞ」

優しい表情で褒めてあげた。すると睦月君は、
先生にギュッとしがみついてきた。
先生は、抱き上げるとよしよしと
背中をポンポンと叩いてあげていた。

私は、それを見ていて複雑な気持ちになる。
どうにかして仲直り出来ないものかしら?
お互いに悪気がないからこそ
誤解を解いて仲直りさせてあげたい。
しかし、なかなか難しくきっかけがなかった。

そして結局。何も出来ないまま日にちが過ぎ
お遊戯会になってしまった。参加者は、
自由になっており次の入園者の見学も兼ねていた。
ステージ会場であるホールに入る。
たくさんの保護者達が我が子の発表を見るために
集まってきた。

「凄い人数ですね。保護者関係ばかりでしょうか?」

「いや、来年入る予定の保護者やガキも来ている。
それに名門私立の関係者も来てるみたいだな。
ここで主役などをやって受験の点数を稼ごうと
張り切ってる母親も多いらしい」

えっ?名門私立の関係者!?

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