イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)
「坊主。これも味見をしてみるか?
これは、何を隠し味にしたと思う?当ててみろ」
料理長らしき人は、あれからも
色々と味見をさせてくれた。しかも睦月君は、
それをすべて言い当てていた。凄過ぎる。
すっかり気に入られてしまい
「大きくなったら、ウチに来い!」
そう言ってスカウトまでされた。
凄いわね……もしかしたら将来は、コックになる
可能性もあるのかしら?
似合うといえば似合いそうな気もする。
ちょっと先生で想像してしまった。
そして帰り道。味見をしていたせいで
かなり遅くなってしまった。
タクシーに乗り帰りを急いでもらう。
「睦月君凄かったねぇ~味見させてもらえて。
よく隠し味とか分かったね?」
嬉しそうに話しかけるが睦月君は、
何だかぐったりとしていた。あれ?
顔が赤いような……?
するとハッとする。慌てて睦月君のおでこを触った。
やっぱり熱がある……そういえば、
味見の時に喋りっぱなしだったわ!?
どうしよう……途中でやめさせるべきだった。
睦月君にとったら話す事は、ストレスになるのに
私の馬鹿……。
オロオロしながら居ると自宅マンションに着いてしまった。
私は、怒られる覚悟でお金を払い
睦月君を抱きかかえるとタクシーを降りた。
そして、インターホンを押して
先生にオートロックを開けてもらい急いで
エレベーターに乗り上がった。
ドアを開けて待っていてくれた先生は、
この状況に驚いていた。
「随分と遅かったな……ってどうした!?」
「すみません。私の不注意で
睦月君お喋りし過ぎて熱を出してしまいました」
「はぁっ?拓馬君の所で遊んでいたのだろう?
アイツ…睦月の性格よく知っているから
熱出すほど喋らせないと思うのだが……?」
先生は、ぐったりしている睦月君を受け取り
抱きかかえながら言っていた。
うっ……ごもっともです。
「お前……一体俺に何を隠しているんだ?あぁ?」