イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)
睦月君も会話をする訳ではないから
どうしても早く食べて終わってしまう。
何とか楽しい雰囲気に繋げなければ……。
「あのですね。この前、会社で書類をコピーしたんですよ。
そうしたらボタンを間違えて押しちゃったみたいで
コピー用紙が大量に出ちゃって
大変だったんですよ~なんせ
10枚を100枚になっていて……アハハッ……ハ…」
「…お前……何やってんだ?」
笑いを取るために自分のミスを自白した。
だが、逆に白い目で見られてしまった。
むしろ呆れられてしまう。笑って下さい。
凄く恥ずかしいのですから……。
「……アハハッ……」
睦月君が気を遣って笑ってくれる。
ただし無表情で棒読みだけど
ありがとう……余計に悲しいけどね。睦月君。
そしてメインのお肉料理が食べ終わろうとした時に
パッとお店の電気が消えた。いよいよだわ。
ハッピーソングが流れる。
するとスタッフの人がホールのケーキを
持って来てくれた。
ロウソクに火を照らして
ショートケーキにたくさんの苺が乗っている。
真ん中にプレートに
『HAPPY BIRTHDAY』と書かれてあった。
そして夜景から大きな花火が打ち上がった。
「こ、これは……!?」
先生は、驚いた表情をしていた。
驚くのも無理はない。これが私と浜野さんが考えた
サプライズパーティーなのだ。バースディーケーキは、
私から花火は、浜野さんからの提案だった。
私も花火を打ち上げてくれるなんて驚いたが
浜野さんの友人に花火職人が居るらしく頼んでくれた。
私達は、窓のそばまで行く。
とても鮮やかで綺麗な花火だった。よし、改めて。
私は、隠し持っていたプレゼントを差し出した。
「先生。誕生日おめでとうございます。
これ……私と睦月君からのプレゼントです!」
「……俺に……か?」
「はい。睦月君のは、先生の似顔絵です。
一生懸命描いていたんですよ。先生に渡すために」