イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)

「ふーん」

先生は、そう呟きながらリボンを解くと似顔絵を見る。
無言で見つめていた。
どうだろうか?素敵な似顔に先生も笑顔に……。

「これが、俺か?全然似てねぇーな。おい」

バッサリと否定される。あれ……?
先生!?せっかく睦月君が描いた似顔絵なんですから
否定しないで下さい!!
睦月君がショックを受けちゃう……。

もう……と思いながら先生を見ると
嬉しそうに微笑んでいた。あ、笑っている!?
写っていた写真の時のように優しい表情だった。

「こりゃあ、また描き直させないとな」

そう言いながら睦月君の頭をよしよしと
撫でてあげていた。きっと心の中は、嬉しいのだろう。
こうやって見ると先生は、ツンデレだ。
素直じゃないな……もう。クスッと笑ってしまった。
すると次は、私のプレゼントに手を伸ばす先生。

「これは……お前からか?」

「は、はい。
気に入って頂けると嬉しいのですが……」

モジモジしながら答えた。いざプレゼントを
開けられると思うと恥ずかしくなってきた。
何にするか散々悩んでこれにした。
ラッピングを取って箱を開けると万年筆が入っている。
気に入ってくれるだろうか?
ドキドキしながら開けるのを見ていた。

「万年筆?」

「はい。何にするか迷って……やっぱり
日用に使える物がいいかなぁ~と思いまして
先生。小説家ですし、これがいいかと
ぜひ書類やサインを書くのに使って下さい」

「そうか。なかなかいいんじゃないか」

「本当ですか!?」

良かった……使って貰えるみたいだ。
ホッと胸を撫で下ろしていると
先生は、箱に入れ直すとまた花火を見始める。
私も一緒になって花火を見ていると先生が
「ここは、沙織にプロポーズした場所だ」と
衝撃的なことを言ってきた。

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