イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)
「もしかしてやりたいの?」
そう尋ねると睦月君は、コクり頷いた。
せっかくだからと交代してあげる。
ギュッと絞り袋を絞ると生クリームが
飛び出してくる。私の指示通りにやる睦月君だった。
「睦月君。上手、上手。
私より上手いわねぇ~」
意外と器用に何でもこなす。
楽しそうに作っていると先生が入ってきた。
先生は、眉を寄せながら不機嫌そうな表情になる。
「うっ……なんだ、ケーキかよ?
この甘ったるい臭いは…」
「お疲れ様です。もう少ししたら
出来上がるので待っていて下さい。
すぐに片付けますので」
私は、そう言うと先生は、溜め息混じりに
こちらに来るとコーヒーを淹れていた。
私は、そのままケーキ作りを再開させる。
「上手、上手。後は、苺を盛り付けて出来上がりよ!
睦月君。上手に出来たねぇ~」
褒めてあげるとコクりと頷く睦月君。
それを見ていた先生は、
「お前ら……何でも楽しそうでいいな」と
ボソッと呟いてきた。
「えっ?先生。今、何か言いましたか?」
「いや…別に。甘そうなケーキだなと言ったんだ」
「確かに甘いかもしれませんが
なかなかの出来なんですよ。
ほら、睦月君が生クリームを担当したんです」
私は、嬉しそうにケーキを先生に見せた。
まだ苺が飾り付けしていないし歪な部分もあるけど
なかなかの出来だと思う。
先生は、ジッとそのケーキを見る。
そして私達を見ながら
「どうでもいいが、お前ら顔中に生クリームだらけだぞ?」