イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)

えっ……!?
慌ててケーキを置くと手で拭った。
すると先生は、近くの置いてあった布巾を取ると
私の顔を拭き出してきた。

「せ、先生!?」

まさか、拭いてくれるなんて思わなかったから
恥ずかしくなってしまう。
顔から火が出るかと思うぐらい熱くなった。

「……動くな。拭けないだろーが」

叱られてしまった。
大人しく拭かれる事にしたのだが
心臓がドキドキと鳴ってうるさかった。
拭き終わると次は、睦月君を拭いてあげていた。

睦月君のように子供扱いしてきたのかもしれないけど
まだドキドキしていた。静まれ……心臓。
そして、やっとクリスマスケーキが出来上がった。
後のご馳走も大急ぎで作り何とかそれらしくなった。

「それでは、クリスマスパーティーをしましょう」

楽しいクリスマスパーティーが始まった。
結局。一度も誕生日の事は、言えなかった。
まぁ半分諦めていたけど……。
どうせ言った所で、何も変わらないだろうし

私は、忘れるように楽しんだ。
頑張って作ったご馳走と食後のデザートに
あのクリスマスケーキを用意する。しかし
先生は、切ったケーキを乗せた皿を睦月君にあげてしまう。

「俺は、甘いの嫌いだから睦月。
俺の分も食ってもいいぞ」

「あ、せめて苺ぐらい食べて下さいよ!?
せっかくのケーキなんですから」

「はぁっ?……仕方がねぇーな」

そう言うと苺を摘まみ一口パクりと食べる先生。

「苺は、旨い。もういらん」

さっさと睦月君にあげてしまう。
私は、それを見てクスクスと笑ってしまった。
もう先生ったら……。
私と睦月君は、ケーキを美味しく食べた。

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