イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)
「私にお任せ下さい。これぐらいなら出来ます!
あ、これ……差し入れのシュークリームです!
では、行ってまいります」
私は、シュークリームの箱を先生に渡すと
張り切って迎えに行った。
少しでも先生の役に立ちたいと思ったからだ。
幼稚園の方に着くと園内に入っていく。
すると睦月君は、拓馬君達と外で遊んでいた。
居た、居た。あそこに。
「睦月くーん。お姉ちゃんが迎えに来たから
一緒に帰ろ~う」
元気に睦月君を呼んだ。
そうしたら私に気づいた睦月君は、私の所に
駆け寄ってくれた。
しかし来るとキョロキョロと辺りを見渡していた。
あぁ……先生を探しているのかな?
「せん…ではなかった。パパは、お仕事で
家に居るわよ。だから今日は、私と帰ろうね」
怖がれないように笑顔で話しかける。
そうしたら無言のままため息を吐かれた。
それは、もう……先生と被るかのように。
あれ?何でため息を吐かれるの?
「睦月君?どうしたのかなぁ……?」
ワケが分からずに尋ねてみた。
えっ?もしかして、ガッカリされた?
そうしたら後から来た拓馬君に
「睦月。残念だったな?今日は、諦めろ」
そう言って睦月君に話しかけていた。えっ?
睦月君は、無言のままコクリと頷いてしまった。
このガッカリ感は、何でだろうか?
すると睦月君は、ため息を吐きながら
園内に入って行く。
「睦月君…?」
「おばさん。睦月…帰りにアイツの父ちゃんと
パンケーキを食べに行きたかったらしいぜ」
拓馬君がそう言って教えてくれた。
パンケーキってあのパンケーキ?
先生と一緒に行きたかったの?睦月君。
「今テレビに話題になっているパンケーキ店があって。
睦月は、パンケーキが好きだから行くの
楽しみにしてたのに台無しじゃん。
空気読みなよ…おばちゃん」