イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)

「えーそんな事を言わずにさ!?
ほら、部屋だって一室空いてるだろ?
そこを貸してくれよ。今さ。
彼女と喧嘩してて部屋に入れてくれないんだ」

浜野さんは、必死に頼み込んできた。
彼女さんと喧嘩……それは、また大変そう。
でもいいなぁ~お泊まり。ちょっと羨ましくなる。

「はぁっ?冗談じゃない。
さっさと彼女に謝って許してもらって来い」

「そう言わないでさ。料理や掃除だってするぜ?
睦月の面倒も見るからさ~頼むよ!!」

「うぜー!!」

このやりとりを何度も繰り返され
結局。浜野さんは、泊まる事で話がついた。
やや強引にだが……。
浜野さんって一体どんな人なのかしら?
小児科のお医者様になるぐらいだし
先生に負けないぐらい頭のいい人なんだろうけど
行動が読めないわ。

「涼花ちゃ~ん。これ出来たから運んでくれる?」

「あ、はい。」

突然名前を呼ばれ驚いたが返事する。
夕食を招待してくれた。
浜野さんが昼食を作ってくれたので私も手伝った。
出されたお皿を受け取ると美味しそうな
チャーハンだった。

「うわぁー美味しそうですね」

「こう見えても料理得意だからね。
よく藤崎や睦月にも作っていたし久しぶりだな」

浜野さんは、懐かしむようにフライパンを水につけた。
そうなの……?
高校時代だとすると結構長い友人関係なのよね。
しかも睦月君の事もよく知ってるみたいだし
だとしたら奥さんの事も……。

「涼花ちゃんってさ~もしかしなくても
藤崎の事が好きだろ?」

「えぇっ?あ、キャアッ!?」

驚いてテーブルに足をぶつけてしまった。
しかもその勢いでチャーハンが乗った
お皿を落としてしまう。ガッシャンと派手に
音を立てて割ってしまった。
あぁ、こういう失敗は、これで何度目だろうか?

< 56 / 218 >

この作品をシェア

pagetop