イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)

「まぁね。ほら、アイツって基本一匹オオカミじゃん?
誰かとつるむ事もしないし。
よく窓際で読書とかしていて無口でさ。だけど
見た目が派手だしカッコイイから女子なんて
キャーキャー言われてさ。男子は…面白くないわな」

アハハッと笑う浜野さん。
どう言ったらいいのか戸惑ってしまうが
何となく想像が出来る。
確かに先生は、一匹オオカミな所があるわ。
窓際で静かに読書なんか読んでいたら
きっとあそこだけ違う空間に見えてくるだろう。

見た目は、ロック系だけどそういう姿もよく似合いそうだ。
いいなぁー私も先生と同級生になりたかった。
そうしたら違った出会い方があったのに……。
ちょっと残念な気持ちになっていると

「でさ、普段は…面倒くさがって人と関わらないくせに
文化祭や体育祭とかイベントになると率先して
手伝うんだよな。やり方が気にいらんとか理由をつけて
素直ではないだろ?で、しかも人の事を観察していて
足らない部分をフォローしてくれるくせに
恋愛に関しては、鈍くてさー」

浜野さんは、思い出すたびに笑いだした。
先生らしいと失礼ながらそう思った。
素直ではないけど…本当は、面倒みがよく優しい。
そして、ちょっと恋愛に鈍感な所とか今と変わらない。
私は、納得してしまった。

するとフッと近くを見てみるといつの間にか
睦月君もお皿拾いを手伝ってくれていた。
しかしお皿の破片が擦れたのか手に怪我をしていた。

「あ、睦月君。大変…怪我しているじゃない!?
お手伝いは、いいから手当てしなくちゃあ」

慌ててソファーの所に連れて行き消毒をしてあげる。
そして、睦月君の小さな指に絆創膏を貼ってあげた。
2ヵ所も切れて血が出ていた。

「これで、よし。貼れたわよ」

「……ありがとう」

不思議そうに指を見ながらお礼を言ってくれた。
小さい子には、ガラスの破片を触ったり
踏んで怪我をしないように見ておかないといけないのに
うっかり目を離して怪我をさせてしまった。
情けない……先生に何て言おう。

「おーい。皿の片付け終わったぞ。
どうだ?手当て終わったか?」

「あ、ありがとうございます。
すみません…ほとんど手伝ってもらって」

浜野さんがそう言いながらこちらに来た。
結局、ほとんどやってもらうとは申し訳ない。

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