イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)

「睦月君。こんにちは」

私は、ニコッと笑顔で挨拶すると睦月君は、
黙ったまま先生にチャイルドシートに乗せられた。
だが、私をジッと見てきた。

「右足……大丈夫?」

「うん。大丈夫だよ……ありがとう。心配してくれて」

ニコッとそう言うと睦月君は、ゴソゴソと
カバンの中を探りだした。どうしたのかしら?
不思議に思っているとカバンの中から袋に入った 
折り紙の鶴を取り出すと私に差し出してきた。
鶴……?

「私にくれるの?ありがとう。上手に出来てるね。
でも、どうして鶴なのかな?」

「病気や怪我を早く治すためには、鶴がいいんだって。
がんかけ?中川先生がそう言っていたの」

願掛け!?あぁ、千羽鶴のことね。
どうやら睦月君は、私に早く怪我を治してほしくて
一生懸命、幼稚園で鶴を折ってくれたらしい。

「ありがとう睦月君。お陰で早く治りそうだわ」

嬉しそうに言うとコクりと頷いていた。
相変わらず優しい睦月君だ。大切に飾っておこう。
そんなやり取りをしている間に
先生の住んでいるマンションに着いてしまった。

私は、先生の肩を貸してもらい
マンションの中に入って行く。リビングの方に行くと
先生は、強引に私をソファーに座らされた。

「お前は、ここで大人しくしていろ。
俺は、夕飯の支度をするから」

「あ、それなら私が……」

「いいから大人しくしていろ。
一歩でも動いたら追い出すからな」

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