イクメン作家と恋心~完全版~(12/30大幅修正済み)
先生にギロッと睨まれてしまう。
そしてキッチンの方に行ってしまった。えっ?
一歩動いたら追い出すって……そんな無茶苦茶な!?
しかし何もせずに座っているのもな。
何だか悪い気がするしどうしたらいいか分からない。
戸惑っていると睦月君が大きくて分厚い本を
両手に抱えて持ってきた。あれは、アルバムかしら?
そして私に差し出してきた。
見ろってことかしら?
広げて見てみると睦月君の赤ちゃんの頃の写真や
1歳や2歳頃の写真がいっぱい貼ってあった。
可愛い~あ、先生と写っている写真もある!!
赤ちゃんの睦月君を抱っこしている姿は、
素敵な親子だ。他に奥さんと睦月君との写真もあった。
どの写真も綺麗で上品な感じの女性だった。
胸が余計にズキッと痛んだ。
すると睦月君は、隣に座るとページをめくろうとする。
「どうしたの?」
睦月君が何ページがめくると最後のところに
この前に行った遊園地で撮った
ペンキン・メリーゴーランドの写真だった。
私と睦月君が写っていた。
上手く撮れていて……本当にまるで親子みたいだ。
でも、どうしてこのアルバムに!?
家族写真のアルバムに何故か無関係の私が
貼られているではないか。
「僕が貼ったの」と言ってきた。
「どうして?お姉ちゃんは、家族ではないから
そこに貼ったらダメよ?」
嬉しいけど……部外者だから
そこに貼られているのに抵抗がある。
すると睦月君は、不思議そうに首を傾げた。
「お姉ちゃんは、家族だよ?」
えっ……?
家族だと言われ心臓がドキッと高鳴った。
嬉しいけどでも……違う。
「睦月君……それはね……」
私が睦月君に言い聞かそうとした。
その時だった。パラッと1枚の写真が剥がれた。
私は、気づいてその写真を拾い見てみる。
写真には、先生と奥さんのツーショットだった。
誕生日に撮ったものらしくバースデーケーキと
一緒に写っていた。幸せに寄り添いながら笑う2人。
胸がズキッと深く刺さった。
するといつの間にか来ていた先生にその写真を
取り上げられてしまう。しかも怒りながら
「何勝手に見ているんだ!?」