私の好きな人はオオカミでした。
自分が地味なことは幼いころから自覚していた。

視力もずっと悪くて眼鏡もずっとかけてきている。

高校入学する直前に母親にコンタクトを勧められたことがあった。

だが、頬にはそばかすがあり、それを隠すためにも眼鏡を選んだ。

なるべく顔も見えないよう前髪は目にかかるほどにしているし、腰まで伸びた黒髪は結ばずにいる。

内気な性格に加え、口下手で人見知りな私の友達はいつだって本だった。

友達がいなくたって私には本がある。

複雑な人間関係に自分からかかわりたいとも思わない。

面倒なことになるのは目に見えてるし、大体周りが私を対等な友達としてみるわけがない。

最初からそう思うと案外寂しさも感じない。

期待をすれば裏切られるだけ。

悲しくて苦しい思いをするなら最初から何も作らなければいい。

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