一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「安輝はねえ、萌音ちゃんができたってわかった時に、私に仕事を辞めてくれって言ったわ」

゛黙って俺についてこい゛

的なスタンスならそれは家庭内モラルハラスメント、通称:モラハラと言えるのだろうか?

両親の離婚の原因をよく知らない萌音は、安輝のDV疑惑に首を傾げた。

萌音にとってはとても理解のある尊敬する父だった。

仕事で遅くなることは多かったが、暴力や暴言を吐かれたことはない。

「だからね、私は言ってやったわ。仕事を辞めるくらいなら離婚して一人で産むわってね」

あまりにも結子らしい言動に、萌音は苦笑しながら言った。

「その後11年は我慢したんだね」

「そうねえ、幸いつわりもなかったし、妊娠中の経過もすこぶる良好だったから、私が仕事することで安輝に心配されるようなことはその後起きなかったからかもね」

少なくとも望まれない子供ではなかった事実が読み取れて、萌音はホッとしていた。
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