一級建築士の甘い囁き~ツインソウルはお前だけ~妊娠・出産編
「そっか、萌音ちゃん、マタハラされたのね・・・。だけどさ、ハラスメントは受け手の受け取り方の問題でもあるのよ。ちゃんと相手に言われたことの理由を確認した?」

萌音はハッとして顔を上げた。

確かにハラスメントは、受けた相手が不快に思えばハラスメントといえるのだそうだ。

いじめもハラスメントに含まれる。

萌音は、海音に言われた言葉を思い出した。

『萌音、出産まで仕事を休まないか?』

『周りも心配するだろうし、何より萌音も思うように動けないだろう?』

少なくとも蔑む言葉ではない。

だが、そこに萌音の気持ちは存在しない。

思うように動けないとは?

だからなんだと言うのだろうか、迷惑なの?

きつい、辛い、辞めたい・・・?

萌音は弱音なんて吐いたことはないし、逆に仕事をすることで癒されている。

製図を描くことが好き。お客様とのコミュニケーションが好き。

どうしてそれを海音は取り上げようとするのだろうか・・・。

双子を妊娠したからっていって病気ではない。

なのに・・・。
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